ウォーターフロッサーは効果ある?
ウォーターフロッサー(ウォーターピック)は、水の力で歯と歯の間や歯ぐきのすき間を洗い流す清掃器具です。
「水だけで本当に汚れが落ちるの?」「フロスや歯間ブラシの代わりになるの?」
そんな疑問を持つ方も多いと思います。
ここでは、研究の結果をもとに、ウォーターフロッサーの効果や注意点をまとめました。

目次
ウォーターフロッサーとは
細い水流を歯と歯の間にあてて汚れを洗い流す器具です。
矯正装置やブリッジがある方、フロスが通しづらい方にも使いやすいのが特徴です。
水圧による刺激で歯ぐきの血流を促し、炎症や出血をやわらげる効果があるといわれています。
実際に、歯肉炎の改善を報告した研究もあります。
期待できる効果
・歯ぐきの出血や炎症の軽減
・フロスや歯間ブラシが通しにくい部位の清掃補助
・手先の不自由な方や高齢の方でも使いやすい
・続けやすく、毎日のケアの習慣になりやすい
“継続できる”という点は、ウォーターフロッサーの大きな利点です。
デメリットと注意点
ただし、良い点ばかりではありません。
いくつかの注意点も知っておくことが大切です。
まず、プラーク(歯垢)をこすり取る力は歯間ブラシやフロスに及びません。
水流だけでは粘着した汚れを完全に落としきれないため、ブラシやフロスの代わりにはなりません。
また、以下のようなデメリットもあります。
- 費用:本体価格が1万円前後で、ノズルなどの消耗品も必要です。
- 設置場所:洗面台にある程度のスペースが必要です。
- 音や水はね:水圧が強いと音が出たり、水が飛び散ったりします。
- 慣れが必要:使いはじめはコツがつかめるまで少し練習が必要です。
これらを理解したうえで、自分の生活スタイルに合うかどうかを考えるとよいでしょう。
北欧歯科の考えと今後の取り組み
北欧歯科では、ウォーターフロッサーを歯間清掃の補助具として位置づけています。
歯間ブラシやフロスを基本とし、矯正装置・ブリッジ・インプラントなどブラシが届きにくい部分での使用をおすすめしています。
最近は、さまざまなメーカーから新しい機種が発売されています。
ただし、機種ごとに水圧の強さやノズルの形状が異なり、使い方も統一されていません。
そのため現時点では、北欧歯科としてすべての製品を十分にご指導できる段階ではありません。
これから臨床データや最新の研究を学びながら、より安全で効果的な使い方をお伝えできるよう努めていきます。
まとめ
ウォーターフロッサーは、歯ぐきの炎症や出血をやわらげる効果がある便利な器具です。
しかし、プラーク除去の力は歯間ブラシやフロスには及びません。
費用や設置場所、使い方の慣れなど現実的な面もありますが、上手に使えば口の中を清潔に保つ助けになります。
気になる方は、定期検診の際にスタッフへご相談ください。
<参考文献>
- Worthington HV, et al. Interdental cleaning with oral irrigators and interdental brushes for the prevention and control of periodontal diseases and dental caries in adults. Cochrane Database Syst Rev. 2019.
- Goyal CR, et al. Comparison of the efficacy of water flossing and interdental flossing in orthodontic patients. Int J Dent Hyg. 2024.
- Rosema NAM, et al. Plaque-removing efficacy of interdental cleaning devices. J Clin Periodontol. 2011.
- European Federation of Periodontology (EFP). S3-level Clinical Practice Guideline for the treatment of Stage I–III periodontitis. J Clin Periodontol. 2020.