<歯科医師が解説>オールセラミックの被せものはどれくらいもつ?〜25年にわたる世界的研究からわかったこと〜
<この記事の要約>
オールセラミックが「どれくらいもつか」を調べた、12,468人を25年間追跡した大規模研究を紹介した記事です。
CAD/CAMで作られた17,725本を調べた結果、**年間の失敗率は約2.7%**と低く、20年以上良い状態を保てるケースも多いことが示されました。
再治療の主な原因は、
①セラミックの破折 ②神経のトラブル ③歯そのものの破折 の3つ。
特に神経を取っている歯や歯ぐきに炎症がある歯ではトラブルが起きやすい傾向があります。
一方でジルコニアは長期的に安定しやすい点も確認されました。
最も重要なのは、
「治療後のメインテナンスが長持ちの鍵」ということ。
定期的なメインテナンスが、セラミックも歯も守ります。
この記事は歯科医師 加藤大明が執筆しました。
見た目が自然で金属を使わない「オールセラミック」の被せもの。
最近では多くの方が選ばれる治療法ですが、「実際どれくらいもつの?」という質問をよくいただきます。
今回は、今年の5月に発表された、25年間にわたる大規模研究からわかった「オールセラミックの長期的な安定性」についてご紹介します。

目次
世界12,000人のデータを追った研究
この研究は、ヨーロッパ各国の12,468人の患者さんと303人の歯科医師を対象に、
1994年から2023年まで行われたものです。
CAD/CAM(キャドカム)という機械で作られた17,725本のセラミック修復物を長期間追跡し、
再治療が必要になった割合や原因を詳しく調べました。
結果として、平均8年(最長25年)にわたる観察の中で、
年間の失敗率は約2.7%。
つまり、100本中2〜3本程度が1年あたり再治療になるという、結果でした。
トラブルの原因は?
再治療が必要になった主な理由は次の3つでした。
- セラミックの破折
- 歯の神経のトラブル(根の病気など)
- 歯そのものの破折
材料そのものが原因の場合と、歯自体が原因の場合があるようです。
長持ちする・しにくい歯のちがい
研究では、次のような条件の歯でトラブルが起こりやすい傾向がありました。
- 過去に神経の治療(根管治療)をしている歯
- 歯ぐきからの出血がある歯(歯肉の炎症)
一方で、ジルコニアという素材を使ったセラミックは、
他の材料に比べて長く安定して使えることがわかりました。

長持ちの秘訣は「治療後」
この研究が教えてくれるのは、
「素材や技術が進化しても、お口の健康状態が長持ちのカギになる」ということです。
どんなに精密に作られたセラミックでも、
歯ぐきの炎症など歯に起こる問題を放置すれば、
いつかはトラブルにつながってしまいます。
北欧歯科からのメッセージ
オールセラミックの被せものは、
見た目が美しいだけでなく、20年以上にわたって良い状態を保てる治療です。
ただし、それを支えるのは「治療後のメインテナンス」です。
- 定期的な検診とクリーニング
- 噛み合わせや歯ぐきのチェック
- 必要に応じた小さな調整
これらを重ねることで、
セラミックの美しさも、歯の健康も、長く保つことができます。
「きれいに入ったあとこそ、守っていく時間が始まります。」
北欧歯科では、治療後の経過観察とメインテナンスを通して、
皆さまの歯を長く支えていきます。
セラミック治療についてご質問やご不安のある方はスタッフまで遠慮なくお声がけください。
<参考文献>
Wierichs RJ, Kramer EJ, Reiss B, Laske MM, Opdam N, Abou-Ayash S. Practice-Based Study on CAD/CAM Inlays, Onlays, and Crowns: Longevity and Risks. J Dent Res. 2025 Oct;104(11):1218-1227. doi: 10.1177/00220345251332882. Epub 2025 May 16. PMID: 40376921.
<自由診療に関する記載(厚生労働省 医療広告ガイドライン準拠)>
治療内容:セラミック治療(ジルコニアクラウン)
費用:小倉院 110,000円(税込)、福岡院 121,000円(税込)
保険適用:なし(自費診療)
主なリスクと副作用:噛み合わせの変化や歯ぎしり・食いしばりの強い方では、セラミックが欠けたり割れる可能性があります。経年的な歯肉の退縮により、境目が見えてくる場合があります。