<歯科医師が解説>しつこい歯の汚れは“色素産生菌”によるものだった!

<この記事の概要>
歯を毎日しっかり磨いているのに、歯ぐきの近くに黒い線のような汚れがつく…。そんな“落ちにくい歯の汚れ”の正体のひとつが 「色素産生菌(chromogenic bacteria)」 と呼ばれる細菌です。
本記事では、色素産生菌がどのように歯を着色させるのか、茶渋やタバコのヤニとどう違うのか、そして予防・対策の具体的方法について、歯科医師がやさしく解説します。

この記事は歯科医師加藤大明が執筆しました。


「毎日ちゃんと磨いているのに、なんだか歯が黄ばんで見える…」
「歯の根元に黒い線のような汚れが取れない…」
そんな経験、ありませんか?

実はその“しつこい汚れ”、「色素産生菌(chromogenic bacteria)」という細菌が原因かもしれません。

色素産生菌ってなに?

色素産生菌とは、自分で色を作り出す性質を持つ細菌のこと。
口の中に常在している無害な菌が多いのですが、一部の菌は鉄分や唾液中の成分と反応して黒っぽい色素を作ります。
それが歯の表面に沈着して、黒い線や点状の汚れとして見えるのです。

代表的なのは「Actinomyces(アクチノマイセス)」や「Prevotella(プレボテラ)」など。
どちらも、普段は歯垢の中に存在する一般的な菌です。

普通のステインとどう違うの?

コーヒーや紅茶・タバコなどによる汚れは「外から付着するステイン」。
一方、色素産生菌の汚れは菌が自ら色を作って沈着させるもの。
そのため、

  • 普通のクリーニングでは落ちにくく
  • 数週間〜数か月で再発しやすい
    という特徴があります。

BMC Oral Health(2025年)のレビューでは、こうした細菌性着色が子どもから大人まで3〜18%に見られることが報告されています。

黒点がつながり線状に見えるのが特徴の一つ。

どうすれば防げるの?

完全に防ぐことは難しいです。菌を入れ替えることは現実的には困難です(むし歯と歯周病予防の観点からは必要もありません)。ですので、対処療法的となりますが、、、

  • 定期的なクリーニング(プロフェッショナルケア)
    → 回転するブラシや専用機器とパウダーを使ったクリーニングで落とします。
  • 月に数回気になった時に、気になった場所だけなら「歯の消しゴム」のような製品もいいかも。

汚れが気になる時は、お気軽にご相談ください。

ホワイトニングの過去記事はこちら→https://yoboushika.jp/school/whitening1/https://yoboushika.jp/school/whitening1/

<参考文献>
Kumar M, Madi M, Vineetha R, et al.
Chromogenic bacterial staining of teeth: a scoping review. BMC Oral Health, 2025; 25(55).


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