<歯科医師が解説>ホワイトニング後、飲み物制限は本当に必要?コーヒーはOKかも?!
ホワイトニングのあとは「色の濃い飲み物は控えてください」と歯科医院で言われることが多いですよね。
その理由は、ホワイトニング後の歯は、薬剤の働きで表面がまだ安定しておらず、色が入りやすい状態(いわゆる「染まりやすい時期」)になっています。そのため、一時的に濃い飲み物や食べ物が着色しやすいと言われています。
では、この「飲み物制限」は本当に効果があるのでしょうか。
今回ご紹介する研究は、ホームホワイトニング後に飲む飲料によって歯の色調がどれほど変化するのかを検証したものです(Karadas M, et al., 2014)。
この記事は歯科医師の加藤大明が書きました。

目次
研究の概要
目的
ホームホワイトニング後に、(下に並んだ)4種類の飲料が歯の色調に与える影響を評価すること。
- コーヒー
- 紅茶
- コーラ
- 赤ワイン
- (飲料との比較として/対照群)人口唾液
方法
・健全な上顎の前歯45本を使用。
・10%過酸化尿素ジェルにて、1日6時間、14日間ホームホワイトニングを実施。←この研究で使用されていたホワイトニング剤は「10%過酸化尿素」という、日本で一般的に使用されるホームホワイトニング剤と同じレベルの濃度です。当院で使用している松風ハイライトも同濃度のため、この結果は実際の臨床にも応用できる内容といえます。
・ホワイトニング終了後、以下の液体に浸漬(各群 n=9):
| 評価飲料 | 浸漬条件 |
|---|---|
| コーヒー/紅茶/コーラ/赤ワイン | 初日:15分+6時間、その後:継続浸漬 |
| 対照:人工唾液(着色要素ゼロ) | 同条件 |
・色の差は15分・6時間・1週間・1ヶ月時点で測定。
結果
- すべての飲料の中で、コーヒーは最も低い 色の変化量だった。
- コーヒーは人工唾液と比較しても、変わりなし(統計的有意差なし)。
- 一方、赤ワイン、紅茶コーラは、人工唾液よりも明らかに着色が進行していた(統計的有意差あり)。
結論
ホワイトニング後は、特に赤ワイン・紅茶・コーラの摂取は控えることが推奨される。
コーヒーについては、色の変化に影響しない可能性が高い。

他の研究では(コーヒーについて)?
過去に少なくとも3つの研究で比較されている。2つの研究ではホワイトニング後にコーヒーを飲んでも、白さは変わらなかった。しかし、1つの研究ではコーヒーを飲むと色が変化した。2勝1敗。本研究結果を加えると、コーヒーをホワイトニング後に飲んでもOKが3勝1敗。
まとめ
正直、2週間も赤ワイン・紅茶・コーラを我慢するのは辛いですよね。
でも、不幸中の幸い。コーヒーは飲んでもOK。
飲まない人と比べても、白さの差はほぼありませんでした。
ホワイトニング後は、コーヒーを楽しみながら、白さが安定するのを待ちましょう。
<参考文献>
Karadas M, Seven N. The effect of different drinks on tooth color after home bleaching. Eur J Dent. 2014 Apr;8(2):249-253. doi: 10.4103/1305-7456.130622. PMID: 24966778; PMCID: PMC4054058.
北欧歯科で主に使用しているホワイトニング薬剤に関する記事はこちら→https://yoboushika.jp/school/whitening1/
歯の着色に関する記事はこちら→https://yoboushika.jp/school/staining/