「むし歯は削らないで治せる?」歯科医師が教える「削る治療」と「削らない治療」の本当の違い。
むし歯治療といえば歯を削って何かで埋めること、そう誤解している方も多いですが、むし歯治療には削らない治療も存在します。歯は一度削ってしまうと元には戻れません。だからこそ、予防や削らない治療が大切になります。しかし、削らない治療は全てのむし歯が適応となるのではなく、それが可能かの見極めが大切になります。
先日、北欧歯科/北欧歯科こくらでは院内勉強会でそのことを皆で、学びましたので報告します。講師は歯科医師の加藤大明がつとめました。
目次
「削らない歯治療」とは?
「削らないむし歯治療」というと夢の治療のように聞こえますが、正式名称を「非侵襲的う蝕治療」と言い(※う蝕とはむし歯のこと)、初期のむし歯を削らずに、フッ化物の利用や強化、時には食事療法などにより、進行を停止させる治療法のことを言います(参考文献)。対象は初期のむし歯なので、進みすぎたむし歯には適応外になります。
「削る」治療と「削らない」治療の適応の見極め方
その1:活動性
活動性とはむし歯の場所からカルシウムやミネラルが増えたり減ったりしている状態をさします。特に減っている状態が続くとむし歯はどんどん進み、穴が広がっていきます。それを判別するために、「むし歯になってる場所がプラーク(細菌のかたまり)でおおわれていないか」とか、「周りの歯ぐきから出血がないか→出血があるということは長い時間そこにプラークが存在していることを示唆します」とか、「硬さ→やわらかくなっているとミネラルが減っている証拠」などを、拡大鏡や強い光やエキスカ(スプーンみたいな形の器具)や探針(針のような器具)などを使って判断しています。活動性が高い場合は、「削る治療」の対象となることが多いです。

| 表面性状 | 色 | |
| 活動性 | ラフ、粗造 | 白い |
| 非活動生 | スムース | 光沢あり、暗い |
その2:穴
穴があいてると、歯磨きの際などに穴の中のプラークがきれいに除去しづらいため、むし歯の進行を早めます。具体的にはむし歯菌が生成する酸と糖質のより急速な拡散を助長するため、歯からミネラルがより抜けていったり(脱灰)、細菌の感染が進みます。穴があいている場合は、「削る治療」の対象となることが多いです(削ったり埋めたりしなくてもいい場合もあります、詳しくは「清掃性」の項)・
その3:清掃性
しかし、穴が空いていれば必ず削ったり埋めたりする必要があるわけではありません。家での歯みがきで穴の中にプラークをためないように清掃することができれば、むし歯の進行は停止するので、原理的には削ったり埋めたりする必要はありません(ただし、噛みにくいかもです)。
「削らない治療」の例

上顎の咬合面にむし歯を2本認めますが、穴は認められず、また清掃性も高いと判断し、高濃度フッ化物を塗布して定期的に経過観察としました。
下顎の咬合面には3か所のむし歯を認めます。このうち2か所は、従来型の「削る・埋める」治療を行っています。残り1か所は清掃性が高いと判断し、高濃度フッ化物を塗布して定期的に経過観察としています。
歯の色が黒くなっているのは、高濃度フッ化物塗布後の変色によるもので、問題はありません。
(本治療はすべて保険診療の範囲で行っています。)
注意点
削らない治療には適応となるむし歯のサイズがあり、専門的にはレントゲンにてエナメル質あるいは象牙質1/3を超えない範囲のむし歯が適応になります。ただし、これも患者さんのリスクや症状によって判断が変わることがあります。
削らない治療は正式名称を「非侵襲性う蝕治療」といい、フッ化物配合歯磨剤の日常使用など、フッ化物応用が前提となります。フッ化物を全く使用しない状況では、この治療法は適応にはなりません。
<参考文献>
<関連記事>
フッ化物についての過去記事はこちら→https://yoboushika.jp/school/fluoride1/
むし歯の進行に関する過去記事はこちら→https://yoboushika.jp/school/dentinenamel/
乳幼児のむし歯予防の記事はこちら→https://yoboushika.jp/school/cavity_prevention/
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