2025.10.20

＜歯科医師が解説＞月に1回、プロに任せる口のケア

＜この記事の要約＞
自宅でのケアだけでは約3割の汚れが残りやすく、特に加齢で露出する根面のむし歯を防ぐためにも、研究で効果が示されている「月1回〜2週間に1回のプロによる口腔ケア」を取り入れることで、歯を長く健康に保てることをお伝えします。

この記事は歯科医師　加藤大明が執筆しました。

―自宅ケアに自信がない人ほど、「定期的なプロケア」で差がつく―

「しっかり磨いているのに、虫歯や歯ぐきの腫れが繰り返す…」
そんな経験はありませんか？

実は、“自分で磨けている”と思っていても、約3割以上の汚れは残っているといわれています。
特に、加齢とともに歯ぐきが下がって根面が露出してくると、そこは虫歯（根面う蝕）の好発部位になります。

近年、介護施設の入居者を対象とした研究で、月1回～2週間ごとのプロによる口腔ケアが、う蝕や歯の喪失を防ぐことが明らかになってきました。
その結果は、私たち一般の患者さんにも大いに参考になります。

1. 2週間に1回の専門ブラッシングで歯を守る

ドイツの研究（Barbé et al., 2019）では、介護施設の入居者に対し、デンタルナースによる2週間ごとのブラッシングを3か月間実施しました。
その結果、

つまり、定期的にプロに任せることで、歯の寿命が延びるということです。

スウェーデンの研究（Girestam Croonquist et al., 2020）では、歯科衛生士が月1回施設を訪問し、専門的清掃と指導を行いました。
6か月後には、

つまり、「月1回でも十分に効果がある」ことが示されています。
これは、私たちが歯科医院で行う「メインテナンス」とまったく同じ発想です。

ベルギーでの研究（Janssens et al., 2018）では、移動歯科チームが施設を定期訪問し、教育・治療・予防を包括的に実施。
結果として、

「歯を残す」だけでなく、「清掃しやすい口を維持する」。
これこそ、定期的な歯科ケアの目的です。

誰もがお年をめされると、あるいは病気などにより、生涯にわたり十分なホームケアを行うことは困難です。

そんな時こそ、今回ご紹介した研究の結果が役に立ちます。

「家ではうまく磨けない」「体調が悪くてホームケアが難しいという方こそ、「プロと一緒に歯の健康を保つ」という発想に変えてみましょう。

歯科医院でのケアについてご質問がある場合はどうぞご遠慮なくおたずねください！

＜参考文献＞

歯科メインテナンスの注意点に関する記事はこちら→https://yoboushika.jp/school/vrf1/